婚姻届を取消または無効にできる場合があります

Last Updated on 2021年4月23日 by よも

原則は取り消せない

婚姻届を提出したあとに別れたくなっても、受理された後であれば、無かったことにすることはできません。別れるには離婚の手続きをするしかありません。

ただし、一定の場合には、婚姻の取消しまたは婚姻の無効を裁判所に請求することができます。

取消し請求ができるケース

法律違反の婚姻

法律に違反している場合は、本来なら受理されませんが、何かの事情で受理され婚姻が成立してしまった場合は「取消し」の請求をすることができます。

民法に次の規定があります。

民法第744条 第731条から736条までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。
2 第732条又は第733条の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者も、その取消しを請求することができる。

民法731条から736条は次の通りです。

第731条 婚姻適齢
不適齢者が適齢に達したときは取消せなくなります。ただし不適齢者自身は、適齢に達したあと3ヶ月は取り消し請求することができます。

第732条 重婚の禁止

第733条 再婚禁止期間
前婚の解消もしくは取消しの日から起算して100日を経過したとき、または女性が再婚後に出産したときは、取り消し請求ができなくなります。

第734条 近親者間の婚姻の禁止
第735条 直系姻族間の婚姻の禁止
第736条 養親子等の間の婚姻の禁止

上記の場合は取消し請求ができます。

詐欺又は強迫による婚姻

詐欺又は強迫による婚姻も取消し請求できます。

民法に次の規定があります。

第747条 詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2 前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後三箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。

詐欺や強迫を相手方から受けた場合だけでなく、第三者から受けた場合も含むとされています。

この場合の詐欺とは、相手方が自分の不都合な過去を隠していたとか、借金を隠していたとか、職業や年収を偽っていたというのは含まれません。そのようなことは離婚の原因になりますが、婚姻の取消の原因にはならないとされています。

詐欺を発見してから、あるいは強迫を免れてから3か月を経過した場合、あるいは婚姻を追認した場合は取り消せなくなります。

詐欺又は強迫による婚姻の取消しを請求できるのは、詐欺・強迫を受けて婚姻をした本人だけです。親族等はできません。

無効請求ができるケース

民法には婚姻の取消しとは別に婚姻の無効についての規定があります。

民法第742条 婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
一 人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
二 当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第739条第二項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。

婚姻意思がないときには婚姻は無効となるという規定です。

例えば婚姻意思がないのに他人が勝手に婚姻届を出した場合などがこれにあたります。

当初は無効な婚姻であっても、当事者が後で追認したとされ、届出時に遡って婚姻は有効となると判断されたケースもあります。

二は、「婚姻の届出をしないとき」ですが、婚姻届を提出していない段階では、そもそも婚姻は成立していないと考えられているので、この規定にはあまり意味が無いようですが、但書には意味があります。たとえば婚姻届に不備があっても、市区町村にいったん受理されると婚姻は有効に成立するという意味です。

取消しと無効の違い

婚姻が取り消されてもその取り消しの効力は、過去には遡りません。つまり、その婚姻は、取り消されるまでは有効となり、取り消された以降は無効となります。

婚姻の無効は、婚姻当初に遡ってその婚姻が無かったものとされます。

手続きについて

取消しを求める手続き

婚姻の取消しを求める訴えを家庭裁判所に提起しますが、その前に家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。

取消しを認める判決を受けるまでは、婚姻関係は有効に存在していることになります。

取消しがなされると、その時点から将来に向かってのみ取消しの効力が発生します。財産関係については、婚姻当時に遡った処理がされます。

無効を求める手続き

婚姻の無効を求める訴えを家庭裁判所に提起しますが、その前に家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。

戸籍訂正の手続き

判決によって請求が認められればその旨を役市区町村に届出て戸籍の訂正を求めることができます。

戸籍の訂正は。婚姻の部分に線を引いて抹消するだけなので完全に記載が消えてしまう訳ではありません。

無効になった部分を無くするには戸籍の再製が必要です。市区町村によりますが、戸籍の訂正後、申出により届出が提出される前の戸籍を再製できます。

本籍を変えれば、取り消された部分までは転記されないので実質的に再製と同じ効果を得られることがあります。

婚姻の取消し無効については、弁護士や司法書士などの専門家に相談した方がよいでしょう。

トップページ結婚についてのあれこれ>このページ