Last Updated on 2020年12月2日 by よも
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現金預金が少ないとき
相続税の納付期限は、相続の開始を知った日(通常は被相続人の死亡の日)の翌日から10ヶ月以内です。
そして、相続税は、原則として現金で一括納付しなければなりません。
相続財産のなかに、相続税を上回る現預金があれば問題ないのですが、相続財産のうち不動産が多いケースが問題になりがちです。
財産は自宅だけだら相続税は大したことはないだろうと思っていたら、地価が意外に高くて見込み違いになることは珍しくありません。
こうした場合、まんぜんと納付期限が過ぎてしまうと、延滞税が課せられるだけでなく、財産も差し押さえで失ってしまいかねません。
対処としては、延納と物納があります。
延納という制度
延納とは、分割して納税できる制度です。
延納の条件が4つあります。条件のすべてを満たす必要があります。
1.相続税額が10万円を超えること。
2.金銭で納付することが困難である理由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。
つまり、他にお金をもっているような場合は認められません。
3.担保を提供すること
延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供する必要があります。ただし、納税額と利子税の合計額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合を除きます。
4.納付期限までに手続きすること。
相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出する必要があります。
税務署の審査期間は相続税の納付期限から3ヶ月以下、担保の状況によっては6ヶ月以下となっています。申請をしても、審査の結果すべてが承認されるわけではありません。
物納という制度
延滞によっても金銭納付が困難と判断される場合には、相続財産による物納があります。
相続税の物納が認められるのは、以下の4つの条件をすべて満たしている場合に許可を受けることができます。
1.延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつその納付を困難とする金額を限度としていること。
2.財産が日本国内にあること。
物納の対象になる財産は、
第一順位 不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等
第二順位 非上場株式等
第三順位 動産
で、日本国内にある必要があります
3.管理不適格財産・物納劣後財産でないこと
管理処分不適格財産とは、
抵当権などの担保権が設定されている不動産
権利の帰属について争いがある不動産
境界が明らかでない土地
などです。
物納劣後財産とは
地上権等が設定されている土地
法令の規定に違反して建築された建物及びその敷地
などです。
4.納付期限までに手続きすること。
物納しようとする相続税の納期限又は納付すべき日までに物納申請書と必要書類を税務署長に提出する必要があります。
申請書の提出から3ヶ月以内に許可又は却下が行われますが、財産の調査に時間がかかる場合にはさらに待たされることになります。