Last Updated on 2020年8月19日 by よも
夫婦財産契約
婚姻の届け出前に、お互いの財産についてどう扱うかを契約すれば、そこで決めたことが優先されます。契約しなければ民法の規定によることになります。
民法第755条 夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は、次款に定めるところによる。
e-Gov法令検索 2020/08/19
契約したときは法務局で登記しなければ効力が生じません。
民法第756条 夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
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この契約は結婚後は原則として変更することができません。
民法第758条 夫婦の財産関係は、婚姻の届出後は、変更することができない。
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2 夫婦の一方が、他の一方の財産を管理する場合において、管理が失当であったことによってその財産を危うくしたときは、他の一方は、自らその管理をすることを家庭裁判所に請求することができる。
3 共有財産については、前項の請求とともに、その分割を請求することができる。
実際にこの契約を結んで結婚する夫婦は極めて少ないようです。
財産契約がないとき
財産についての契約を結ばなかったときについては別に定めがあります。ほとんどの夫婦がこれに該当します。
民法第二款法定財産制には次のような規定があります。
婚姻費用の分担
民法第760条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
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夫婦には同居協力義務があります。
→同居し、協力し、扶助する義務
この義務に対応して、婚姻後生じる費用は、夫婦がお互いに出し合わなければなりません。一方に収入がないときは一方が全額負担しなければなりません。ここでは「夫が稼いだものは夫のもの、妻が稼いだものは妻のもの」は通用しません。
婚姻から生じる費用というのは、衣食住、娯楽、子の養育費など一切の費用です。
日常の家事に関する債務の連帯責任
日常の家事に必要な支払いについては連帯責任がある、という規定です。
民法第761条 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
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日常の家事というのは、衣食住、娯楽、子の養育費などです。
例えば、日常の家事をするために必要で購入した物の代金は、原則として知らないと言って突き放すことはできません。
夫婦間における財産の帰属
民法第762条 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
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2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
夫婦のいずれに属するか明らかでない財産だけが夫婦の共有財産になります。
ただし、離婚するときの財産分与の対象になる夫婦共同財産は、どちら側の名義であるかは関係ありません。例えば、結婚後に立てた家は夫の名義であっても財産分与の対象になります。
一方、財産分与の対象にならない財産もあります。一方の配偶者とは何の関係もなく形成された財産のことです。これを特有財産といいます。
代表的なものは、相続や贈与を受けたことで得た財産、結婚する前から所有している財産です。