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雇用契約

有期雇用は途中で辞めれないのか

Last Updated on 2020年8月19日 by よも

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辞めさせてくれない場合

「契約期間1年の有期契約で採用されました。まだ3ヶ月ですが、家庭の事情で、どうしても仕事を続けることができなくなりました。その旨を社長に話したところ、契約期間の中途で、退職するのは法律違反だ。と言われました。辞めることはできないのでしょうか。」

民法には次のような定めがあります。

民法第628条
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

e-Gov法令検索 2020/08/19

つまり、有期雇用の期間中であれば原則として辞めることができないので、社長の言っていることは基本的には正しいのです。

しかし、628条には「やむを得ない事由」があれば辞めることができると書いています。

やむを得ない事由があれば辞めれる

では、どういったケースであれば「やむを得ない事由」と判断されるでしょうか。

上記の例のように「家庭の事情」だけでは分かりにくいでしょう。具体的に、親の介護、育児の手間、配偶者の転勤など、仕事を続けられない理由を述べましょう。これらの理由は、「やむを得ない事由」に該当するでしょう。

また、会社が採用時に示した労働条件を守らない、残業代を払わない、パワハラ・セクハラ等、違法な業務に従事させるなどのことがあれば、十分に「やむを得ない事由」に該当するでしょう。

「それは理由にならない」などと言われることもあるかもしれません。しかし、「やむを得ない事由」かどうかを判断するのは「会社」ではありません。やむを得ない事由かどうかは、最終的には裁判所が判断することです。

よって、理由を述べた上で強引に辞めたとしても、会社がそれに不服があれば、裁判を起こすしかないのです。

そして、従業員に相当の問題行為がない限り、それなりの「やむを得ない事由」を述べて退職した従業員に対しての損害賠償請求が認められることは通常では考えられません。

628条には、過失による場合の「損害賠償」についても記載されていますが、理由があっての退職であれば重大に考えなくてもよいでしょう。

「やむを得ない事由」が自分の過失によって生じるケースは稀だと考えられますし、もし過失によって生じたものだとしても、実際に損害が発生していないと賠償を請求することはできません。

本当に損害賠償されたら、慌てて払わずに、弁護士に相談しましょう。きっと解決策がでてきます。

こじれたら専門家に相談

いずれにしても、有期雇用の期間中に辞めることができないのが原則ですから、辞めるときは、「やむを得ない事由」を真摯に説明しなければなりません。

まともに事由を説明しないで辞めてしまえば、会社からの訴えがあったときに不利なことになります。

もし、会社側から、「辞めさせない」「賠償金を払え」という言葉が出てきたら、できるだけ早く弁護士や社会保険労務士、労働局等の相談窓口に相談しましょう。

契約期間の初日から1年経過していればいつでも退職できる

有期労働契約の契約期間の上限は原則3年までとなっていますが(労働基準法14条1項)、契約期間の初日から1年を経過すると、民法628条の規定(やむを得ない事情がある場合のほかは退職できない)にかかわらず、いつでも退職することができます(労働基準法137条)。