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通勤災害と労災保険

Last Updated on 2020年8月19日 by よも

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労災保険は、業務上の事故病気に対して給付を行う公的保険制度です。通勤中は、まだ業務に取りかかっていないので、特別の扱いで、労災保険の対象にすることになっています。労災保険でいう「通勤」は、一般的に考える「通勤」と、少し異なるところがあるので注意が必要です。

通勤災害とは

通勤災害とは、労働者が通勤により被った負傷、疾病、障害又は死亡をいいます。

労災保険における「通勤」とは、

就業に関し、次に掲げる移動をすることです。

1 住居と就業の場所との間の往復
2 就業の場所から他の就業の場所への移動
3 住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動

そして条件がいくつかあります。

1 合理的な経路及び方法により行うこと

2 業務の性質を有するものは除く

3 移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合には、逸脱又は中断の間及びその後の移動は「通勤」とはなりません。

4 3の場合であっても、厚生労働省令で定めるやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、逸脱又は中断の間を除き「通勤」となります。

以上の要件を満たせば、労災保険法における「通勤」に該当し、労災保険から各種給付を受けることができます。

通勤災害の条件

「就業に関し」とは

労災保険における通勤は、就業に関してのものだと定義されています。

つまり、通勤は、移動行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることが必要です。

したがって、いつもと同じ時間帯に会社方面に向かう電車に乗っていたとしても、買い物や友人宅の訪問など、目的が異なれれば通勤ではありません。

また、早出や遅刻など、本来の出勤時刻と時間的にある程度の前後があっても就業との関連性が認めらるので通勤になります。

「住居」とは

移動の起点または終点が住居であることが求められています(例外もあります)。

住居とは労働者が居住して日常生活の用に供している家屋等の場所で、本人の就業のための拠点となるところをいいます。

通常は家族のいる所から出勤するが、別にアパート借りていて、早出や長時間の残業の場合には当該アパートに泊り、そこから通勤するような場合には、家族の住居とアパートの双方が住居と認められます。就業のためという目的であれば、ホテルなどが認められることがあります。

「就業の場所」とは

業務を開始し、又は終了する場所です。一般的には、会社や工場等の本来の業務を行う場所をいいますが、現場仕事の労働者は、その現場が就業の場所になります。また、住居から用務先に直行する場合は、最初の用務先が就業の場所になります。

「就業の場所から他の就業の場所への移動」とは

一つ目の就業の場所での勤務が終了した後に、もう二つ目の就業の場所へ向かう場合の、事業場間の移動をいいます。

「住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動」とは

転勤などにより、当該転勤の直前の住居に居住している家族と別居しているものが、転勤先の住居と、家族の住居との間の移動をいいます。距離(片道60キロメートル以上)等の条件があります。)、

「合理的な経路」とは

一般に労働者が用いるものと認められる経路及び方法をいいます。

合理的な経路については、通勤のために通常利用する経路であれば、複数あったとしてもそれらの経路はいずれも合理的な経路となります。

当日の交通事情により迂回してとる経路など、やむを得ずとる経路も合理的な経路となります。

しかし、特段の合理的な理由もなく、著しい遠回りとなる経路をとる場合などは、合理的な経路と認められません。

「合理的な方法」とは

鉄道、バス等の公共交通機関を利用する場合、自動車、自転車等を本来の用法に従って使用する場合、徒歩の場合等、通常用いられる交通方法を平常用いているかどうかにかかわらず、一般に合理的な方法となります。普段はバスを利用している人が、自転車にすることもあるという程度であれば、労災保険では、合理的な方法の範囲だということになります。

「業務の性質を有するもの」とは

当該移動が、業務の性質を有していれば、労災保険では通勤となりません。その場合の事故等は業務上災害になります。

具体的には、事業主の提供する送迎バスを利用してのする出退勤、緊急用務のため休日に出勤する場合などが該当します。これらの行為による災害は業務災害となります。

「移動の経路を逸脱し、又は中断した場合」とは

この逸脱、中断に関することは、労働者としてはぜひ理解しておきたいところです。

逸脱とは、通勤の途中で就業や通勤と関係ない目的で合理的な経路をそれることをいいます。

中断とは、通勤の経路上で通勤と関係ない行為を行うことをいいます。

通勤の途中で逸脱又は中断があるとその後は原則として通勤とはなりません。

逸脱・中断の例外

日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、逸脱又は中断の間を除き、合理的な経路に復した後は再び通勤となります。

(日常生活上必要な行為)
労働者災害補償保険法施行規則第八条 法第七条第三項の厚生労働省令で定める行為は、次のとおりとする。
一 日用品の購入その他これに準ずる行為
二 職業訓練、学校教育法第一条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であつて職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
三 選挙権の行使その他これに準ずる行為
四 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
五 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)

e-Gov法令検索 2020/08/19

なお、上記の「必要な行為」以外でも、通勤の途中で経路近くの公衆便所を使用する場合や経路上の店でタバコやジュースを購入する場合などの「ささいな行為」を行う場合には、逸脱、中断とはなりません。