Last Updated on 2020年11月9日 by よも
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遺言書とは
法律の配分方法や相続人の協議にまかせるのでなく、自分の思った通りに財産を分配したい人が、財産の分割について書き残した書類が遺言書です。
特に、次のような場合に遺言書を作ります。
1.認知をしていない子がいる場合(生前にできることですが遺言でもできます)
2.親不孝な子に遺産を相続させたくない場合(同上)
3.特定の人に、遺産の全部、または大部分を相続させたい場合
財産が多いから遺言する、少ないから遺言しない、というものではないのです。
遺言書があると、遺言書で指示されたことが、法定相続分よりも優先されます。
関連記事:遺言を残すには
相続手続きを進めてしまってから有効な遺言書が見つかると、大変困ったことになります。
遺言書を探す
相続人は、必ず遺言書を探さなければなりません。
「遺言なんてあるはずがない」という思い込みはいけません。
親が考えていることは知っているようで知らないものです。まして、疎遠であればなおさらです。あるはずがない、ではなく、あると思って探した方がよいでしょう。
机、タンス、仏壇など、ありそうなところをしらみつぶしに探しましょう。
自宅で見つからないときは、後述するように、法務局や公証役場の方も確認しましょう。
遺言書が見つかったら
遺言書を見つけてもすぐに開封してはいけません。家で見つかった遺言書は、家庭裁判所に持って行って検認を受けなければならない場合があるからです。
検認が必要なのは、法務局以外の場所、例えば自宅などに保管されていた自筆証書遺言と秘密証書遺言です。
検認とは「遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続」です。
検認が必要な遺言書は、検認が終わるまでは遺産を分けることができません。
関連記事:遺言書の検認について
公正証書遺言
公証人役場で作ってもらった遺言書を公正証書遺言といいます。公正証書遺言の原本は公証人役場に保管されるので自宅で見つかることはありません。自宅で見つかる可能性があるのは写しである正本か謄本です。
公正証書遺言は検認を受ける必要がありません。正本を提示することで遺言の内容を実行することができます。正本がないときは公証人役場に請求すると交付してくれます。
公正証書遺言があることは、通常は誰かに知らされているものですが、誰も教えてもらっていない場合もあります。写しが見つからなくても、最寄りの公証人役場に行けば「遺言検索システム」により、遺言の存在を確認することができます。
亡くなった方が死亡したという事実の記載があり、かつ、亡くなった方との利害関係を証明できる記載のある戸籍謄本と、自身の身分を証明するもの(運転免許証等顔写真入りの公的機関の発行したもの)を持参して下さい。
関連記事:確かさを重視するなら公正証書遺言
法務局に保管された自筆証書遺言
法務局に保管の手続きをとった自筆証書遺言は、原本が法務局に保管されているので自宅にはありません。家で見つかるのは、法務局が発行した保管証です。
法務局に保管してあれば検認の必要がありませんが、相続人等は法務局で遺言の内容を確認し、遺言書情報証明書を入手しなければなりません。
保管されていることを知っていれば、相続人等は遺言情報証明書の交付の請求や遺言書の閲覧ができます。
遺言書情報証明書があれば、遺言者の預金の引き出し、不動産の名義書き換えなどを行うことができます。
ただし、保管されていることを知らされていないこともあるかもしれません。
保管されているかどうか、法務局で確認することができます。
保管されているかどうか照会できるのは以下の人です。
□ 相続人
□ 遺言執行者
□ 受益者等
□ 上記の親権者や成年後見人等の法定代理人
次の書類が必要です。
□ 遺言者の死亡の事実を確認できる戸籍(除籍)謄本
□ 請求人の住民票の写し
□ 遺言者の相続人であることを確認できる戸籍謄本(相続人が請求する場合)
□ 法人の代表者事項証明書(請求人が法人である場合)
□ 法定代理人が申請するときは戸籍謄本(親権者の場合)
□ 法定代理人が申請するときは登記事項証明書(後見人等の場合)
交付の請求をするには予約が必要です。
遺言書が保管されていることが分かれば、遺言情報証明書の交付の請求や遺言書の閲覧ができます。
関連記事:遺言書の法務局保管について