Last Updated on 2020年8月17日 by よも
トップページ>離婚したいと思ったら>このページ
年金の分割を請求できる
年金の分割というのは「働いてこれたのは妻の支えがあったればこそである」という考えで、夫(制度上は配偶者)の老齢厚生年金(共済年金を含む)の一部を、離婚後に元妻(制度上は元配偶者)が受け取れる制度です。国民年金の老齢基礎年金にはこういう制度はありません。
合意分割
分割できるのは婚姻期間中に厚生年金被保険者であった期間です。厚生年金や共済年金に入ったことのない元配偶者からは分割してもらうことができません。
原則として配偶者の合意が必要です。
双方が合意すれば、年金事務所に「標準報酬改定請求書(離婚時の年金分割の請求書)」を提出することで、離婚した元配偶者の厚生年金の一部を自分に付け替えてもらうことができます。この制度を「合意分割」といいます。
相手が合意しない場合は、家庭裁判所の決定をもらう必要があります。
裁判所の決定を得てから、年金事務所に届け出します。離婚時の年金分割の請求書を提出します。
調停または審判による分割
当事者の話し合いでまとまらないときは、家庭裁判所に対して按分割合を定める審判又は調停の申立てをすることができます。
通常は調停を申し立て、それでもまとまらない場合には、年金分割のみの紛争であれば審判に進めることができます。
なお、離婚調停と同時に年金分割の割合について調停を求めたいときは、夫婦関係調整調停(離婚)の手続を利用します。
調停の申立てをすると、当事者双方を呼び出して調停が行われます。審判の申立てをすると、裁判官が相手方の意見も聴いた上で按分割合を決定する審判を行います。
審判が確定、又は調停が成立した日の翌日から起算して6ヶ月を経過するまで年金分割の請求をすることができます。
3号分割
合意分割とは別に、「3号分割」というのがあります。
サラリーマンの配偶者(専業主婦または主夫=3号被保険者)は、平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間中の夫の厚生年金の標準報酬の半分を請求により自分のものとすることができます。合意も裁判も必要ありません。年金事務所で手続きするだけです。
合意分割は、婚姻期間の全部にさかのぼることができますが、「3号分割」されるのは、平成20年4月1日以降の分だけです。20年4月1日以降の婚姻期間にだけ適用されます。
どのくらいもらえるか?
年金分割というのは、正確には離婚した相方の年金額を半分もらえるものではありません。年金の「記録」(標準報酬月額と標準賞与額)を分割してそれぞれの年金額を計算するものです。
報酬比例部分は平均すると月額10万円とちょっとですから、その半分で5万位だと思った方が良いでしょう。それも、会社に勤めていた期間の全部が対象になるのではなく、その中で「結婚していた期間」が対象になるので、さらに低くなる可能性があります。
以下、大雑把な説明ですが参考にしてください。
仮に相手が22歳から会社勤めをしていて65歳まで勤務すれば、厚生年金被保険者期間は43年になります。
仮にあなたとの結婚年数が10年だとすれば、
分割される割合は43分の10です。
仮に相手の老齢厚生年金の報酬比例部分の金額が月額10万円だとすると、
10万円の43分の10は、約23000円ですから、
この半分、約11500円があなたの取り分になります。
結婚期間が長ければ、報酬比例部分の半分に近づきますが、期間が短いと少ないのです。
分割された分は、65歳になったときの自分の老齢年金に加算されます。
この制度は、妻に対して分割するというイメージがありますが、妻にも厚生年金の被保険者期間があって夫の収入が少ない場合は、妻の受給分が増えるとは限りません。減る場合もあります。
離婚後2年以内に請求
請求期限があります。離婚した翌日から起算して2年以内に請求する必要があります。調停や裁判をした場合は特例がありますが、話し合い中に時間切れになる場合があるようです。ご注意を。
元配偶者の遺族年金
離婚後に相手方が死亡したときは、元配偶者は遺族年金をもらうことができませんが、子がいれば遺族年金の支給対象になることがあります。